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色覚異常・色覚検査について

皆さんの周りに色覚異常の方はいますか?

いないと回答される方も多いかもしれません。そもそも色覚異常の方というのは日本にどれくらいいるのでしょう

色覚異常にもいくつか種類があるのですが、その多くを占める先天赤緑色覚異常』は日本人男性の約5%、日本人女性は約0.2%、保因者(発症はしていないけれど色覚異常の遺伝子を持っている人)は約10%いると言われています。

これは男性の20人に1人、女性は500人に1人の割合です。

思っていたよりも多くありませんか?特に男性の割合は、学校のクラスに1人くらいはいるような確率です。決して珍しくはないですよね。実際、私は大学のとき80人ほどのクラスに2人いました。

今回は、実は身近な疾患でもある『先天赤緑色覚異常』についてお話ししたいと思います。

 

まず最初に、『先天赤緑色覚異常』の方たちがどんな風に色を認識しているのか画像で見てみましょう

画像の左が正常色覚の見え方、右が先天赤緑色覚異常の方の見え方です。

風景の空の青はあまり変わらず、緑の葉が茶色に、ピンクのお花が白くなっていますね。

野菜はナスやにんにく、黄色のパプリカはあまり変化がないですが、赤・オレンジ・緑の野菜は全て似たような色になっています。

この見え方を意外に感じた方もいるのではないでしょうか。

色覚異常と聞くと白黒に見えているのかな?と思う方も少なくないと思います。確かに、白黒に近く見える場合もありますが、それは脳梗塞などで色覚異常になってしまった場合などがほとんどで、色覚異常の多くを占める『先天赤緑色覚異常』では多くの色が茶色に近い色で見えているんですね。

「先天赤緑色覚異常』は遺伝性の疾患です。

両親が正常色覚でも、曽祖父母や近い親戚に生まれつきの色覚異常の方がいる場合は色覚異常の遺伝子を持っている可能性があるので子供に現れることがあります。

男女比は最初に述べた通り、圧倒的に男性に多いです。なぜ男性に多いのでしょう?これは染色体に関係します。

性別を決める染色体は、X染色体とY染色体があります。

Xが色覚異常の遺伝子を持つと色覚異常になります。

男性はXとYを1つずつ持っていて、Xは母親から、Yは父親から受け継ぎます。一方、女性はXを2つ持っていて、母親から1つ、父親から1つ受け継ぎます。

女性は2つのXが両方とも色覚異常の遺伝子を持つと色覚異常になります。2つのうち1つが色覚異常の遺伝子を持つ場合は保因者(発症はしていないけれど色覚異常の遺伝子を持っている人)です。

男性はXを1つしか持っていないので、男性の発生率が高くなるんですね。

 

当院で出来る色覚検査は2つあります。

①色覚検査表(石原表)

本に書かれた数字を読んだり、輪っかの切れ目を探す検査です。この検査では、色覚異常が「ある」か「ない」かを調べます。

②色相配列検査(パネルD-15)

色を順番に並べる検査です。これは色覚異常がある場合、強度か軽度かを分ける検査です。

 

小学校で行われる色覚検査はほとんどが①です。学校から再検査で来院されるお子さんの中には、「検査の説明が難しくてよくわからなかった」「考えてるうちに終わってしまった」と言うお子さんも多いです。

他にも、視力が低くて表が良く見えず検査がきちんと出来なかったという事もあります。

なので当院ではお子さんに合わせて、一対一でゆっくりと検査をしていきます。

 

また色覚異常がある場合には、本人が気付いていないことも多いです。

『先天赤緑色覚異常』は生まれつきの疾患なので、生まれてからずっと同じ色の見え方をしているためそれが他人と違うとは思っていません。全部が同じ色で見えている訳ではないので、彼らにとって色が似ていて識別が難しい色でもゆっくり見れば判別出来たり、きちんと彼らにも色の認識があります。

ただ、やはり判別のしにくい色の組み合わせやお子さんによって色覚異常の程度が軽度か強度かという差もあります。

そしてこの疾患には現在、職業制限があります。

警察官、消防官、自衛官、パイロットなど、交通・運輸関係の列車・飛行機・船の操縦士などがあげられます。

他にも色彩感覚を要求される画家、デザイナーなども制限がある訳ではないですが難しいかもしれません。これら以外にも就職が難しい職業があると思います。

日常生活の中にも、色で分別させているものも多くあります。信号を見誤ったりする危険もあります。

そういったことを親も本人も知っていることがとても大切です。

なので学校から再検査を指摘された場合は、きちんと受診するようにしてください。

 

今はクリスマスの飾りが街中に飾られているのをよく目にします。一般的なクリスマスカラーといわれる赤と緑は『先天赤緑色覚異常』の方たちにとって見分けのし難い色です。

飾りの色やツリーの色など、お子さんと会話をしていて疑問に思うようなことがあればお気軽にご相談ください。

他にも何か今回の内容についてでも構いませんし、疑問や質問があればいつでもお答えしますのでお気軽にお声掛けください。

※その他 斜視についてはこちら、 弱視についてはこちら  より解説いたしております。

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